2018年ベスト盤
はじめに
2018年に聴いたアルバムの中で、最もよく聴いた作品、印象的だった作品を5つピックアップします。
去年まではTwitter上にアーティスト名/アルバム名だけ書いてたのですが、なんだか味気ないなと思ったので、今年はコメントも書いてみます。Twitterだと文字数が到底足りないので、ブログ作りました。
1.Ryuichi Sakamoto / async
現代音楽
坂本龍一の音楽に関しては、『戦メリ』『Energy Flow』などのポピュラーな楽曲の他、alva noto、Christian Fenneszとのコラボレーションを聴いていたくらいでした。彼個人の深いところまでは何気に踏み込んでいなかったんですよね。そういえば。
ただ、今作は映画『revenant』のサントラやalva notoとのグラスハウスでの即興の流れを引き継ぎつつ、さらに内省的な音楽を指向したものになっていて、わりとすんなりと受け入れられる内容でした。
「async」というタイトルそのままの非同期的な楽曲の他、フィールドレコーディングや詩の朗読など、現代音楽の要素が散りばめられていて、いちど聴いた限りでは先鋭的な印象です。一方で、終始ひっそりとしたアナログサウンドはどこか親しみ深いもので、さすがというべきか、懐の深さに驚かざるを得ない作品でした。
2.cero / Poly Life Multi Soul
日本のポップ
今年は、いままでまともに聴いてこなかった「日本のポップ」が気になって仕方がない1年でした。というのも、後で紹介するD.A.N.も然り、いま日本のインディー寄りのポップシーンが熱いんです!(たぶん2年ぐらい遅れた話題です)
内容ですが、アルバム全体に祝祭的なムードが漂っていて、半端ないエネルギーを感じる作品です。アフロ的なサウンドとポリリズムをごった煮にしたような曲ばかりなんですが、そいつらをポップミュージックとして昇華させた、素晴らしい作品だと思います。
3.Shinya Fukumori Trio / For 2 Akis
耽美なジャズ
Paul Motianはじめ、空間の広がりを感じさせてくれるドラマーが好きすぎて、正常なビートを刻む音楽からはかけ離れていっている私。あと好きなものは、深いリバーブと必要十分なピアノ。
ECMはそんな私の嗜好にドハマりする音楽を提供し続けてくれている大好きなレーベルで、ディスクユニオンでECMのジャケットを見たらとりあえず買ってしまうレベルです。
この作品も、ECMらしさを存分に感じさせてくれるものでした。
『星めぐりの歌』や武満徹の曲の影響か、全体的に日本的なサウンドに仕上がっています。ひたすら控えめなサウンドが、今の私には丁度良いです。
4.D.A.N. / D.A.N.
日本のエクスペリメンタル・ポップバンド
3人組バンドのデビューアルバムで、ダンスミュージックのフレーバーを全面に押し出した作品。
と、これだけ書くとなんだか凡庸に見えてしまうのですが、私の文章力の問題。ミニマルに展開されるリズムパターンと骨太なベース、その上に漂う浮遊感のバランスがなんとも言えず、なんども繰り返し聴いた作品です。
ミニアルバムふくめて3枚のアルバムを世に出していますが、どれも聴きごたえのあるものばかりで(例えばこれ)、今後が本当に楽しみなバンドです。
5.Thomas Strønen / Time Is a Blind Guide - Lucus
現代音楽
ここ数年私のなかで注目度が上がっているドラマー/コンポーザー、Thomas StrønenによるECM発の作品。
この人、ジャズをルーツとしているようなのですが、「いわゆるジャズ」のドラミングをしているところはほとんど聴いたことがないんですよね。
この作品もその例に漏れず、弦楽器を主軸においた、ECMの中でもどちらかというとNew Seriesのような趣を感じるものになっています。
モチーフの繰り返しが全曲にわたって多用されているんですが、全く飽きることなく聴き通せます。Strønenのコンダクター的なドラミングにより成り立つ技なんだなあと、感心してしまいます。
おわりに
のんびり書いているうちに年を越してしまいました。上にあげた作品は2018年にこれでもか!というほど聴いていたんですが、その「好き」を言語化して説明するのにはなかなか時間がかかったし、骨の折れる作業でした。
自己満でしかないけれど、自分にとっては意味あることでした。
2019年も素敵な音楽に出会えますように。